複雑化した表計算ソフトから「Loglass 人員計画」へ。年間約2億円分の予算精緻化と、5ヵ年人件費計画を策定
パーソルホールディングス株式会社
- 従業員数
- 301〜1,000名
- 公開日
- 2026-10-07

「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げ、"はたらくWell-being"創造カンパニーを目指すパーソルホールディングス株式会社(以下、パーソルホールディングス)。持株会社として事業会社を束ねる同社では、ホールディングス単体約800名の人員・人件費を、既存の経営管理ツールと複雑化した表計算ソフトの併用で運用していました。数字の正しさの証明に追われ、各本部が自律的に予実を管理する状態には届かない——その壁を越えるため導入したのが「Loglass 人員計画」です。年間約2億円分の予算精緻化と、5ヵ年人件費計画の策定について、お話を伺いました(2026年7月取材)。
お話を伺った方
- グループ人事本部 HD人事部 HD人事室 室長 別宮 様
- グループ人事本部 HD人事部 HD人事室 岩間 様
ポイント
- ホールディングス人事の集計作業は月10時間超からおおよそ半分に。正しさの証明から、計画の質へ時間をシフト
- 深夜勤務手当・法定福利費・時間外等のロジックを精緻化し、全社で年間約2億円分の予算が適切に再構成された
- テクノロジー部門および人事部門の先行導入を経て全本部で月次フォーキャストを運用。各本部が主体的に管理できる姿を見据える
各本部へ展開する複雑化した表計算ソフト表計算ソフト。数値の正しさの証明に追われ、人件費予算の「正しさ」自体が揺らいでいた

ー ホールディングス人事として、どのような役割を担い、導入前はどのように人件費計画を回していましたか。
別宮様:私たちが所属するのはグループ人事本部です。本部の人員の多くはグループ全体の人事ガバナンスや人事企画を担っておりますが、我々は、パーソルホールディングス単体(約800名)の人事を担う「HD人事部」に所属しています。今回の取り組みは、グループ会社横断ではなく、この単体の人員・人件費を閉じた形で高度化する施策だと捉えてください。
別宮様:我々の担っている業務の1つにヘッドカウントと人件費の予算・見込み・実績の管理があります。翌年度以降の予算は秋に1次締めを行い、2月・3月に詰め、3月に金額を本締めし、4月以降に組織変更や異動を反映した組替えへ入ります。月次の見込みの更新については、従前は表計算ソフトで最新の人員状況や人件費単価を整え、各本部向けに分割配付していました。各本部が入社や退職見込みなどを更新し、結果を既存の経営管理ツールへ投入するとフォーキャストが更新される。私たちがその更新版を再び統合し、月次につなぐ——そのサイクルです。経営管理側のシステムはあるのに、実態の更新は複雑化した表計算ソフトに依存する、本末転倒な状態だったと思います。
ー 複雑化した表計算ソフト運用で、何に時間を奪われ、なぜ仕組み自体を変える必要があったのですか。
別宮様:HD人事部側では、集計だけで月に10時間以上かかっていました。各本部の作業は規模にもよりますが、おおむね30分から1時間、長いところでは2時間近くかかっていました。特に時間がかかっていたのは、取り込む元ファイルを整える工程です。投入後に「退職の発令が出ているのに反映されていない」といった齟齬が見つかり、データ誤りを疑う場面も少なくありませんでした。
別宮様:既存のツールはマクロや高度な関数が多く、可読性が非常に低いものでした。実績と合わないという問い合わせが来ると、各本部が原因を探り、分からなければ私たちへ、それでも解決しなければ構築した外部パートナーへ確認する流れでした。大きな不具合は年に3回程度起き、そのたびに1回あたり30〜40時間規模の対応が発生していました。計算式を変えたいだけでも外部への確認が必要で、コミュニケーションコストも費用も発生していました。理想は、各本部が自律的に要員計画を作り、ヘッドカウントと人件費の予実を自ら管理し、ギャップの原因を分析し、改善計画まで描ける状態です。
別宮様:以前から問い合わせの多さとそれに費やす時間に強い課題意識を持っていました。ただ、本丸の課題は、「表計算ソフトであるがゆえに正しい人件費予算を算出できない」ことでした。人事だけが触るなら表計算ソフトでも回るかもしれません。しかし本部側に触ってもらう前提では限界があります。売上や経費の精緻化に対する財務からの要請は強く、人件費もその一部です。「このツールでは高度化できない」と、人事も各本部も分かっていました。作業時間の削減だけでなく、資本効率や生産性を議論するための土台として、人件費とヘッドカウントが正しく見える状態にする必要があったのです。
「正しい人件費予算」への投資として選定。2026年度からの5ヵ年計画に間に合わせる決断

ー リプレイスを検討し始めたきっかけと、自社開発ではなくSaaSを選んだ理由を教えてください。
別宮様:元々表計算ソフトを使っていたのですが、さらに複雑化した表計算ソフトに改修し、それを使い始めてから丸1年が経ち、2年目に入った頃だと思います。「便利に作ってもらったはずなのに、うまくいかない」という限界が来ていました。同時に当社の中期経営計画の区切りがあり、人件費管理の高度化や生産性を見ていこうという要請も強まっていました。課題の蓄積と経営のタイミングが重なり、「このタイミングでリプレイスを検討しよう」となった認識です。自分たちで情報収集し、候補を探した結果、「Loglass 人員計画」が一択に近い感覚でした。
別宮様:シンプルな表計算ソフトへ巻き戻す案もあり得ましたが、高度化の名の下で改修を重ねてきた経緯があり、今更戻せないと判断しました。スクラッチ内製の案も社内にはありました。閉じた用途だけで作るとガラパゴス化しやすく、法改正などの外圧に対応するメンテナンスを自前で抱え続けることになります。人件費管理で世の中の当たり前から取り残されるリスクもある。であれば、専門のSaaS企業であるログラスと取引し、継続的な改善を担保した方がよい、と考えました。
ー Loglass 人員計画を選んだ決め手は何でしたか。
別宮様:稟議を通すために他社サービスとも比較検討しました。コストとスピードが合わない、あるいは「これから個別にカスタマイズしていく」前提で時間軸が合わない、といった理由で他社サービスは見送りました。特に重要だったのは時間軸です。2026年度から5ヵ年の人件費予算を作ることが決まっており、前年の2025年秋頃までには使える状態になっていなければなりませんでした。
別宮様:工数やトラブル対応時間を人件費換算しても、投資回収の分岐点には届きにくい。だからこそ、単純な工数削減ではなく、人件費ロジックを精緻化し、より正しい予算とフォーキャストを作る効果に軸足を置いて説明しました。各本部はもともと「自ら管理したい」という意欲と、「管理しなければならない」というプレッシャーの両方を強く持っています。私たちに求められたのは、それに耐えうる仕組みを提供することです。長期的な成長投資や生産性向上を議論するための経営インフラとして、投資する判断だったと捉えています。
テクノロジー部門から全本部へ。年間約2億円分の予算精緻化と、初の5ヵ年人件費計画を実現

ー 導入はどのようなステップで進め、予算とフォーキャストでロジックが異なる課題はどう乗り越えましたか。
別宮様:2025年6月頃から利用を開始し、最初の約2か月はオンボーディングとしてログラスに伴走してもらいました。人員情報を取り込んで人件費を計算し、過去実績と比べて妥当かを検証したうえで、予算策定に入りました。立てた予算をもとに、翌2026年4月からフォーキャスト運用を始める方針も決まっていました。正式な契約更新に伴う社内稟議は2026年5月です。
別宮様:全社展開の前には、テクノロジー部門での先行導入がありました。単体約800名のうちテクノロジー人材が約半数を占めるため、事業人事がヘッドカウントと人件費もしっかり管理した方がよい、という動きが出てきました。「4月1日から全本部でフォーキャストを『Loglass 人員計画』で動かしたい」と相談したところ、テクノロジー部門から先行導入の希望があり、2026年1月から3か月間、3本部で既存表計算ソフト表計算ソフトと併用して試しました。問題がないことを確認し、4月1日から全社運用へ。もともと「今の表計算ソフト運用は限界」が全社の共通認識だったので、抵抗はほぼありませんでした。
別宮様:予算とフォーキャストでは計算ロジックが異なります。例えば時間外は、予算では本部別・グレード別・月度別に細かく組む一方、足元のフォーキャストは先に立てた予算を起点に動くため、同じ計算前提では扱えません。当時の「Loglass 人員計画」では、この計算前提を定める科目変換ルールを1つしか持てず、予算とフォーキャストを切り替えるたびに設定を全部作り替える必要があり、現実的ではありませんでした。そこで複数の科目変換ルールを保持できるようログラスへお願いし、優先度を上げてリリースしてもらいました。予算積み上げのタイミングに間に合わせる形で機能が届いたのは、非常に助かりました。
ー 導入後、予算の質や現場の業務はどう変わりましたか。また、初めて人件費管理に携わる立場から見た変化も教えてください。
別宮様:正しい予算を作るという意味では、全社で年間約2億円分の予算が精緻化された認識です。増えた項目も減った項目もあり、その総額が約2億円です。例えば法定福利費は一律の料率で一括計上していたものを、上限や標準報酬の考え方を踏まえて計算できるようになり、より適切な水準になっています。時間外や昇格・昇給、ベースアップも、一括の粗い前提から、ロジックを分けて組めるようになりました。
別宮様:ホールディングス人事側の作業時間は、おおよそ半分になったイメージです。小規模な本部には、私たちが持つ退職・休職などの実態をもとにフォーキャストを作成して共有し、確認後に既存の経営管理ツールへ投入してもらう運用に変えています。人数の多い本部では、人別に「何月にいる/いない」を示すアウトプットを確認してもらいます。これまでは確認に不要な情報まで並んでいましたが、今は見るべき論点が非常にシンプルです。実績も、全社では予算に対してかなり近い水準で推移しています。
岩間様:私自身人員管理・人件費管理は未経験の状態から「Loglass 人員計画」に触れ始めました。表計算ソフトで関数が壊れるリスクに比べると、ミスの余地はかなり少ないと感じます。左側にメニューが並び、やりたいことへ進む動線が設計されているので、次に何を見ればよいかが予想しやすいです。月1回のログラスとの定例で質問タイムを設けてもらい、開発の方も同席してもらえることが心強いです。表計算ソフト時代に、経験のない人が同じ業務を引き継ぐのはかなり難しかったと思います。仕組みが先に整っているからこそ、業務の意味を教えながら運用を渡せています。
別宮様:ログラスのサポートは、わからないことがあればすぐミーティングを組んでくれる機動力が印象的です。要望についても、伝えれば形にしようと動いてくます。レポートのフィルター設定で詰まったときも当日対応してもらい、すぐに解消できました。オンボーディング後もその姿勢が続いているのは、運用定着の大きな支えです。
各本部が自ら計画・見込みを管理する世界へ。人・物・金をつなぐ一元管理の0合目に立つ

ー 今後、現場主体の運用に向けて何を実現したいですか。
別宮様:目指すのは、各本部が自ら予算を作り、フォーキャストを更新する運用です。「Loglass 人員計画」のシミュレーション機能は異動などを反映できる範囲が広がりつつあり、今後は休職や退職なども扱えるようになると聞いています。それが実現すれば、この運用が本格的に回り始めます。人数の多い本部と数名規模の本部では最適な運用が異なるので、各本部のニーズや状況に応じた業務設計を本部別に提案していく必要があるとも考えています。加えて、ダッシュボードでフォーキャストと予算の乖離をグラフィカルに示せる状態も整えたいです。各本部が責任を持って数字を見る方向へ舵が切られる中で、論点が一目で把握できる見せ方があると、意思決定に直結する会話がしやすくなるはずです。
ー 経営管理との連携や、中長期で目指す姿について教えてください。
別宮様:現在、経営管理側では既存の経営管理ツールを使い、人員計画・人件費管理は「Loglass 人員計画」で回しています。この二つをどう統合していくかは、まだ完全には描けていません。ただ、人・物・金を会社として適切に一元管理していくことが展望です。現状はアウトプットを既存ツールへ転記する工程がありますが、将来的には自動連携や、もう一段上の仕組みでつなぐ形もあるかもしれません。
別宮様:グループ全体として、生産性を高め、その成果を従業員へ還元していく方針を掲げています。AI活用を進める中で、「仕事はどう変わり、生産性はどう上がったのか」をモニタリングできなければ、活用の意味を検証できません。ヘッドカウントと人件費の土台を先に整えたのは、そのスタートラインを確保するためでした。人件費は主要な販管費の1つですから、その計画と見込みの精度を上げることは、生産性を意識した経営そのものにつながります。
ー 振り返って、人員計画の仕組みを刷新する判断で一番重要だったことは何ですか。
別宮様:工数削減だけでは投資回収を語り切れない中で、「人件費ロジックを精緻化し、正しい予算とフォーキャストを作る」という効果を軸に据えられたことです。予算とフォーキャストの確からしさの検証と証明に時間を使う状態から、計画の質そのものを上げる状態へ移す。その判断を、5ヵ年計画に間に合わせる時間軸とセットで説明できたのが大きかったと思います。仕組みの構築はゴールではなく、各本部が責任を持って現実を管理し、生産性を高め、成果として可視化していくための手段です。


