卸・小売・物流Loglass 経営管理

合併後の約160拠点を管理会計でつなぐ。売上1兆円超の中間流通グループのPMIを支えた管理会計基盤

三井物産流通グループ株式会社

従業員数
1,001〜5,000名
公開日
2026-04-09
合併後の約160拠点を管理会計でつなぐ。売上1兆円超の中間流通グループのPMIを支えた管理会計基盤

この事例の要約

課題
三井物産流通グループ株式会社は 2024 年 4 月に 5 社が合併して誕生し、全国約 160 の物流センターを擁する中間流通グループとして再スタートを切りました。旧物産ロジスティクスソリューションズ(旧 BLS)と旧三井食品(旧 MF)では使っていた管理会計システムも科目定義も異なり、同じ科目を一方は費用、もう一方は収益で計上するケースもあるなど、議論のたびに目線合わせから始める状況でした。集計フローも複雑で、旧 MF の領域は経理を挟む別ルートのデータを変換してから合算する必要があり、旧システムではデータ取り込み後の画面反映に 10 時間以上かかることもありました。
施策
ツール選定では「現場の予算作成のやり方を変えないこと」を最重要視しました。各拠点のセンター長が Excel で作成した予算をアップロードする現場運用を、そのまま延長線上でシステムに乗せられる「Loglass 経営管理」を採用しました。データ反映が数分で済む処理スピードや、旧 BLS と旧 MF のそれぞれの視点で PL を切り替えられる柔軟性も評価しています。導入後はまず旧 BLS の管理会計を 「Loglass 経営管理」上で再現し、科目名や並び順を現場が見慣れた状態に揃えてから、旧 MF 領域の勘定科目を一つひとつ解体・紐付ける作業を経理部門と協働で進めました。展開は約 100 名のセンター長が集まる会議で段階的に進め、Q&A や操作上の注意を整備した上で、2 ヶ月かけて各センターのアップロードを完了させました。
成果
導入から約 8 ヶ月という短期間で 100 以上のアカウントを配布し、全国約 160 拠点でセンター長が自分の数字を直接入力・確認できる運用に移行しました。データ反映は数分で完了し、当日中に現場の確認や分析へ着手できる状態になっています。レポート切替えだけで旧 BLS/旧 MF それぞれの PL 形式を表示でき、Excel 変換作業を介さずに戦略企画部から現場へのフィードバックと経営報告を同一プラットフォーム上で完結できるようになりました。経理部門との相互理解も深まり、組織をまたいだ数字の言語が揃いつつあります。2026 年度からは実績データの取り込みも開始し、「Loglass 経営管理」一本で予実管理を行う体制へ移行する計画です。

データ取り込み後の反映時間

10時間 → 数分

当日中の確認・分析が可能に

PL形式の切替作業

Excel変換作業 → レポート選択のみ

旧BLS/旧MFそれぞれのPL形式を一画面で切り替え

お話を伺った方

三井物産流通グループ株式会社

物流ユニット戦略企画部

小川 様

三井物産流通グループ株式会社

物流ユニット戦略企画部

大石 様

5社合併で誕生した、約160拠点を擁する中間流通グループ

ー まず、貴社の事業と、物流ユニット戦略企画部の役割を教えてください。

小川様:弊社は2024年4月1日に5社が合併して設立された会社です。事業の柱は2つで、食品を中心とした総合卸売事業と、物流センターを運営するロジスティクス事業です。お客様のもとへ商品を届けるための物流機能を担いながら、メーカーと小売・外食をつなぐ中間流通としての役割も果たしています。物流ユニットは、旧物産ロジスティクスソリューションズ(以下、旧BLS)と旧三井食品(以下、旧MF)が主に統合したユニットで、全国に約160の物流センターを持っています。

私たちが所属する物流ユニット戦略企画部は、ユニットの数値管理全般、予算の作成から実績の管理までを担いつつ、経営とユニットの現場をつなぐハブのような機能を持っています。全社の方針や経営課題を現場に落とし込む一方で、現場の状況を数字として整理し、ユニット長や全社の経営企画に報告する役割です。

ー 現場が数字を持って動くという文化があると伺っています。

小川様:弊社はもともと、各拠点の積み上げから予算を作るボトムアップ型の企業です。トップダウンで予算を決めるのではなく、現場のセンター長が自分の拠点の数字を把握し、予算を組み上げていく。それがユニット全体に積み上がっていく形が基本にあります。各拠点のセンター長は収益や原価の管理に責任を持っており、数字に対する当事者意識は強いと感じています。

物流センターは、配送の物量や人件費、原価がPLに直結します。想定していた物量と実際の物量がどれだけ乖離しているか、配送費はどう動いているか、センター長はそこを見て、自分の現場をどう改善するかを考えています。現場が主体的に数字を持って動くからこそ、その数字を正確に・素早く・扱いやすく整えることが、管理会計において重要な意味を持つのです。

合併後、現場の管理会計運用を続けるにはシステム統合が欠かせなかった

ー 合併後、管理会計の統合にどのような課題がありましたか。

大石様:最も難しかったのは、旧BLSと旧MFで使っていたシステムがそれぞれ異なるうえ、両方を把握している担当者がいない状況だったことです。科目の定義も旧社ごとに違っていて、同じ科目を一方は費用として、もう一方は収益として計上しているケースもありました。議論のたびに確認から始めなければならず、その目線合わせは大きな工数でした。

旧BLSと旧MFはビジネスモデルも異なります。一方は「物流拠点単体で収益を立てる」という考え方が強く、もう一方は「営業部門から引き受けた荷物の物流コストを管理する」という考え方が中心です。同じ「物流センター」でも、予算の組み方や数字の意味合いが違う。それを一つのシステムで整理していくことが、まず取り組むべきテーマでした。

ー 各拠点からデータを集め、経営に報告するまでの作業フローも教えてください。

小川様:集計のフローも複雑でした。各拠点から運営部、本部を経て戦略企画部に数字が届く構造で、旧MFの領域はさらに経理を挟んで別ルートから数字を取り寄せ、変換してから合算するプロセスが必要でした。当時のシステムはデータを取り込んでから画面に反映されるまでに10時間以上かかることもあり、当日中の確認が難しい場面もありました。全社のPLと各部門のPLを行き来するたびにExcelで変換作業が発生し、切り替えのたびに一定の手間がかかっていました。

システムの選定条件は、現場の予実管理の運用を変えないこと

ー ツールを選定する際、どのような条件を重視しましたか。

小川様:一番の評価軸は「現場の予算作成のやり方をできるだけ変えない」という点でした。各拠点のセンター長がExcelで予算を作成し、それをアップロードするという運用スタイルは、弊社の現場感覚に根ざしたやり方です。それをそのまま引き継ぐことができるかどうか。そこが「Loglass 経営管理」を選んだ大きな理由の一つでした。現場に新しい操作を覚えさせるより、今のやり方の延長線上でシステムに乗せられる方が、定着の速度も精度も変わります。

ー その他、「Loglass 経営管理」の具体的な評価ポイントを教えてください。

大石様:データの反映速度も重要な評価軸でした。旧システムでは取り込んでから反映されるまで10時間以上かかることもありましたが、「Loglass 経営管理」であれば数分で確認できます。当日の数字がすぐ見える状態になると、現場への確認や分析のリードタイムそのものが変わります。数字を取り込み後、すぐに動ける体制が整うことは、現場を抱える組織にとって実用上の意味が大きいと感じました。

小川様:旧BLSと旧MF、それぞれの視点でPLを切り替えて確認できる柔軟性も重要な判断材料でした。以前は全社のPL形式と各事業のPL形式を行き来するたびにExcelで変換作業が必要でしたが、「Loglass 経営管理」ではレポートを選択するだけで切り替えられます。戦略企画部としても、現場へのフィードバックと経営への報告の両方を、一つのシステムで完結できる点が評価ポイントでした。既存の基幹システムを改修してデータを統合する選択肢もありましたが、SaaSの導入で素早く解決できる体制を選びました。

現場運用を活かし、Loglassで管理会計システムを統合。約160拠点で管理会計が回る体制へ

ー 導入後、どのように構築を進めましたか。

大石様:まず、旧BLSの管理会計を「Loglass 経営管理」上で再現することから始めました。科目名や並び順、画面の見え方はできるだけ従来に合わせて設計しました。現場のセンター長が見慣れた科目で確認できるようにすることが、スムーズな定着につながると考えたからです。現場が違和感なく数字を見られる状態を作ることが、まず最初の条件でした。

旧MFの領域は、科目の紐付けがより複雑で、「誰に聞けばわかるのか」を探すところから始めなければなりませんでした。また、最小単位の勘定科目を一つひとつ解体していく作業は、経理でもシステムの専門家でもない立場にはことのほか時間のかかる工程でした。それでも丁寧に確認を重ね続けた結果、経理部門との相互理解が深まりました。数字の言語を揃えるという取り組みが、組織をまたいだ信頼関係の構築にもつながっています。

ー 全国約160拠点のセンター長への展開は、どのように進めましたか。

小川様:現場への展開は段階的に進めました。全国のセンター長が集まる会議(約100名参加)で「Loglass 経営管理」を紹介し、今後の切り替えの方向性を事前に伝えました。この時点ではまだ従来のシステムも稼働しており、まずは画面を見ることに慣れてもらうことを目的とした案内にとどめました。

次の集合時に予算の入力方法を説明し、2ヶ月かけて各センターが実際にアップロードを行いました。展開にあたっては、想定される質問をあらかじめ整理してQ&Aを準備し、操作上の注意点も明確に伝えました。例えば、予算アップロード用ファイルへのセルの挿入はエラーにつながるため絶対に行わないようにと重点的に周知しました。一方、確認用のシートを追加することは自由に行えることも伝え、不必要な制限を与えないよう情報の取捨選択にも気を配りました。最初から多くの機能を使わせるのではなく、必要最小限の操作で完結できる運用から始めることを意識しました。

大石様:現場のセンター長は数字に対する責任感が強い方々です。意識の高いセンター長は、アカウントを受け取った直後から操作を試して質問を送ってくることもありました。届く質問の多くは初歩的な操作への問い合わせで、混乱というよりは純粋な好奇心からの反応という印象でした。また、従来のシステムより細かく科目を確認できると説明した際には「それはいいですね」という前向きな声が返ってくる場面もあり、機能そのものへのポジティブな反応が展開の追い風になりました。

ー 現場の文化が、定着の速さに関係している部分はありますか。

小川様:弊社の現場文化も大きく関わっていると思います。弊社はもともと各拠点の積み上げから予算を作るボトムアップ型の企業です。自分の拠点の数字を自分で管理するという意識が現場に根付いているため、「Loglass 経営管理」で自分の数字を直接入力・確認できる運用との親和性が高かったです。現場が主体的に動く土台があったからこそ、導入から約8ヶ月という短期間で100以上のアカウントを配布できたと感じています。

大石様:私自身も小川さんも、もともとセンター勤務の経験があります。現場で日々コストや生産性と向き合ってきた感覚を持っているからこそ、「センター長の立場から見てわかりやすいか」「操作でつまずきそうな箇所はどこか」という視点で設計できたと思います。現場が混乱することだけは避けようという考えは、構築の段階から一貫して持っていました。

本格稼働に向けて、更に現場に寄り添った経営管理へ

ー 来期以降の活用について、どのような計画をお持ちですか。

小川様:現時点では、全社の経営企画やユニット長への報告資料はまだExcelで作成しています。「Loglass 経営管理」はあくまで予算の入力・管理の基盤として動かしているフェーズで、報告への直接活用はこれからです。

2026年度からは実績データの取り込みも開始し、「Loglass 経営管理」一本で予実管理を行う体制に移行します。予算と実績を並べて見られるようになることで、初めてより深い分析ができる段階に入ります。これまでは現場への定着を最優先に、レポート機能の活用は段階的に進めてきましたが、本格稼働以降は本部単位でレポートを広げ、各部門が自ら数字を確認できる運用へとつなげていきたいと考えています。

大石様:非財務データとの連携も取り組みたい領域です。物量や納品先数、1ケースあたりの配送費といったデータをPLと組み合わせて可視化できれば、収益の変動をより構造的に捉えられます。物流の現場では、1ケースあたりの原価がどう動いているかが経営判断に直結します。財務と現場KPIをつなぐことで、現場の改善活動がより数字に紐づく形になると期待しています。

小川様:旧BLSと旧MFはビジネスモデルの特性が異なりますが、それぞれの強みをデータとして組み合わせることで、得意先ごとの分析や収益管理の高度化につなげていける可能性があります。システムの基盤が整ったことで、そうした活用が現実的な選択肢になってきました。真価を発揮するのはここからだと感じています。

ー 振り返って、合併後の管理会計システムの導入で、一番重要だったことは何ですか。

大石様:導入して終わりではなく、現場に使ってもらえるかどうかが本質だと改めて実感しました。そのために、現場が不安なく使い始められる準備、例えばQ&Aの整備、操作上の注意点の明確化、見慣れた科目での設計などを丁寧に積み重ねてきたことが、今の状態につながっていると思っています。複雑な統合作業の中でも、現場の視点を手放さずに一つひとつ確認しながら着実に進めること。それが最も重要だったと振り返っています。経理でもシステム専門家でもない立場から地道に積み上げてきたからこそ、今では経理部門とも対等に話せる関係が生まれました。今回の取り組みはシステム導入という枠を超えて、異なる文化を持つ組織同士が数字の言語を揃えていくプロセスでもあったと感じています。

ー 最後に、同じような課題に取り組む企業のご担当者へ、メッセージをお願いします。

小川様:合併やM&Aを経て、管理会計の科目体系が複雑になっている企業の方に、特に参考にしていただけると思っています。異なる文化を持つ会社が一つになる過程では、数字の前提が揃わないことで生じる混乱が必ずあります。完璧な体制が整ってから動くよりも、現状を少しずつ「Loglass 経営管理」上に再現しながら前に進む方が、結果的に速いと思います。

大石様:多拠点を抱えながら現場主導で数字を動かしたいと考えている組織にも、特に合うと思います。現場の人間が自分の数字を自分で入力・確認するというシンプルな運用が実現できることが、定着の速さに直結します。ただ、導入してゴールではなく、使ってもらえるかどうかが本質です。現場が不安なく踏み出せるための準備を導入側がどれだけ丁寧に積み上げられるかが重要だと感じています。

Q&A

合併後の管理会計統合で 「Loglass 経営管理」 を選んだ理由は何ですか?
現場の予算作成スタイル(センター長が Excel で作成しアップロードする運用)を変えずに延長線上で運用できる点が最大の理由です。データ反映が数分で済むスピードと、旧社ごとに異なる PL 形式をレポート切替えで扱える柔軟性も決め手となりました。
約160拠点への展開はどう進めましたか?
全国のセンター長が集まる会議でまず画面に慣れてもらい、次に予算入力方法を説明、2 ヶ月かけて各センターがアップロードを実施しました。Q&A の整備や操作上の注意点の周知を丁寧に行い、最初から多機能を使わせず必要最小限の運用に絞った点が定着のポイントです。
今後どのように活用を広げていきますか?
2026 年度から実績データの取り込みを開始し、「Loglass 経営管理」 一本で予実管理を行う体制へ移行します。物量や納品先数、1 ケースあたり配送費といった非財務データを PL と組み合わせる活用も視野に入れ、得意先別の収益管理高度化を進めていきます。

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