2024-01-17
Loglass編集部
約3分
Study

「CoE(Center of Excellence)」とは何か?そのメリットやDXとの関係を解説

ビジネスにおいて成功を収めるためには、卓越したスキルと知識が必要です。CoE(Center of Excellence)は企業内部にいる知識やスキルに特化した人々を集めたチームのことで、企業全体の業績向上や業務プロセスの改善等を行います。この記事ではCoEが具体的に何であるか、その活動内容や活用法、またその重要性について詳しく解説します。

経営管理クラウド「Loglass」は、アナログ運用の多い、経営管理領域のデータを一元化。予算策定、予実管理、見込更新、管理会計のフローを効率的に仕組み化し柔軟に”次の一手”を打ち出せる機動力を届けます。

CoE (Center of Excellence)とは何か?

CoE(Center of Excellence:センター・オブ・エクセレンス)とは、企業内にいるハイレベルな人材を集めた部門やチームのことです。専門性や技術力の高いメンバーを集めてチーム化することで、企業全体の業績や効率性の向上を目指していきます。

では、なぜCoE(Center of Excellence)の存在が企業にとって重要なのでしょうか。理由の1つとして、優秀な人材が各所に散らばっていると能力が十分に発揮されにくいことがあります。高いスキルを持っていてもそれぞれの距離が遠いと組織的な調整が効きづらく、情報共有もままなりません。CoEではハイレベルで専門的な人材を一箇所に集めるため、議論を深めたり情報をシェアしたりすることができます。CoEは社内にある知識やスキルを最大限に活用し、企業全体の業績を向上させるための方法です。

CoEが果たす役割と重要性

CoEの主な役割は、企業における「エクセレンス(卓越したもの)」を生み出すための「センター(中心地)」となることです。CoEは専門的な知識を持った人々が集まる部門であるため、企業の課題を解決するために効果的な策の立案をすることが期待されています。効果的な策は全社的に「ベストプラクティス」として一般化・共有されるため、企業全体の業績向上や効率性の改善を期待できます。企業の資源である人材をうまく活かせると、企業も市場優位性の確保がしやすくなるといえるでしょう。

CoEの歴史

もともとCoEの概念は、研究機関や大学で研究や専門領域において卓越した成果を上げるための拠点として使用されていました。徐々にCoEのやり方は政府の方針や資金で支援されるようになり、特定の産業や科学技術におけるリーダーシップを発揮する場所としても注目されはじめます。

1990年代から2000年代にかけては情報技術(IT)の急激な進化とともに、グローバリゼーションやビジネスプロセスの複雑化が進行しました。特にIT関連はデータ解析、サイバーセキュリティ、ソフトウェア開発といった高度な専門知識が求められるため、CoEが頻繁に設立される傾向にありました。

この背景には、企業が直面する課題が多様で複雑になってきたことがあります。今日では、IT部門だけでなく、人事、マーケティング、製造、サプライチェーンなど、多くの業務領域でCoEが設置され、その有用性が広く認知されるようになりました。CoEチームは日々最新の知識と技術を共有しながら、業務プロセスの改善や新しいビジネスモデルの開発に取り組んでいます。

CoEのメリット・デメリット

それでは、CoEのメリット・デメリットを紹介します。

メリット

CoEでは高度な専門性を持つ人材を集めるため、知識とスキルを企業全体で効果的に活用することができます。専門性が一箇所に集約されることで業務プロセスが効率化されるだけでなく、時間とコストも削減できる点もメリットの1つです。また知見と同時に新しいアイデアや技術も集約されやすく、企業全体のイノベーションが促進されます。外部の変化に対応する能力も高まり、より柔軟に動けるような組織体制作りが期待できます。

デメリット

一方で、専門性の高い人材を集めてグループを維持するためには高いコストがかかります。また集めた人材が特定の分野のみに特化していた場合は多角的な視点や柔軟性が失われ、他の部門との連携が取りにくくなる可能性もあります。さらにCoEの目標と企業全体の戦略が一致していない場合はリソースが浪費されるだけでなく、CoEという体制そのものの効果が低下すると考えられます。

企業がCoEを設置する際に留意しておくこと

企業がCoE(Center of Excellence)を導入したい場合は、明確な目的と経営戦略が必要不可欠です。目的の例としては「業績向上」「品質の高度化」「業務の効率化」「特定分野でのスキルと知識の集約」「新市場への進出」などがあります。CoEは目的に基づいて形成されるからこそ、目的に沿った戦略の立案が可能です。さらには短期的な成果を目指すのか、長期的なビジョンに基づいて行動するのかを明確に決めておく必要があります。

人材戦略の観点では「必要なスキルセットを持つ人材をどう集めるか」「どう育成するか」などのほか、業務プロセスの設計や適切なテクノロジーの導入も重要なポイントです。時には外部の専門家や企業との提携も視野に入れることで、人材採用、業務プロセスの設計、予算確保などが円滑に進行し、CoEが企業全体に対して最大限の価値を提供する可能性が高まります。

CoEを効果的に行うにはDXが有用

CoEを効果的に行うためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)を同時に行っておくと良いとされています。これら二つは一見関係ないように思えますが、実はDXを推進させると、CoEの成功に大いに寄与する場面が多いのです。特に大規模な組織では部署の数が増えてしまい、部署間のコミュニケーションがとりづらくなることがあります。こうした状況を解消するシステムがERPシステムです。ERPシステムで社内のデータが一元化されると、データの収集、解析、活用できる土壌を整えることができます。業務改善を行うCoEにとって、横断的にデータ収集ができる体制は非常に有用です。またDXを行うとCoEの知見を手軽に共有することもできます。

効率化された業務プロセスはCoEの活動も同時にサポートし、より迅速かつ柔軟な対応が可能になるでしょう。DXによって既に整備されているテクノロジーインフラも、CoEの活動を円滑に進めるための強固な基盤となります。ただし、CoEの目的や対象とする業務領域によっては、DXは必ずしも必要でないケースもありますので、その辺りも見極めが必要です。

迅速な意思決定を促す「ERPシステム」とは

ERPシステムは、Enterprise Resource Planningの略で、企業内の様々な業務プロセスを統合的に管理するソフトウェアのことをいいます。統合できるデータは販売や在庫管理、生産管理、会計、人事などです。ERPシステムを導入することでこれらの業務プロセスを一元的に管理することができるため、業務プロセスの最適化やコスト削減、迅速な意思決定などの効果が期待できます。

企業は一般的に、拡大にともなって業務が複雑化していく傾向にあります。そこでERPシステムデータを一元化すれば、効率的に管理することができます。

経営管理システムのLoglassは、予実管理に特化したERPサービスです。とくに経営企画では経営層に意思決定のためのデータを提供するため、各部門から横断的に予算と実績のデータを収集し、統合する作業が発生します。しかし、ここでExcelやGoogleスプレッドシートなどを使って管理していると多大な工数がかかるだけでなく、ヒューマンエラーの頻発や属人化、データの肥大化による遅延や破損などが発生し、多くの社員にストレスがかかりやすくなります。

一方で、ERPシステムを導入すると単純な工数削減だけでなく、さまざまなエラーを防ぐことができます。データが効率的に一元化されることで「データ収集」に使われていた時間を「分析」や「事業戦略の策定」にスライドさせることができるため、CoEの専門家チームも社内全体の経営課題を広く見ることができ、社内研究や課題解決を効率的に行えるようになります。

まとめ

この記事では、CoE(Center of Excellence)の重要性とその多面的な役割について深掘りしました。CoEは企業全体の業績向上や効率化を実現するためのキーエレメントであり、専門知識を持つ人材を効果的に活用するものです。

CoEの効果を最大限に引き出すためにはDXの推進も重要な要素です。特に各データの一元管理が可能なERPシステムの導入は、業務効率化だけでなく迅速な意思決定にも効果を発揮します。

しかし、DXとCoEは一概に連動するわけではなく、企業の目的や業務領域によってはDXが必ずしも必要でない場合もあります。そのため、CoEを設置する際は、企業全体の戦略とどのように連携するのか、そしてどのようにして最大の効果を発揮するのかを慎重に考慮する必要があります。以上の点を踏まえ、CoE設置の際にはその目的と戦略、そしてDXとの関連性をしっかりと考慮し、企業全体のパフォーマンスを向上させることが大切です。

経営管理クラウド「Loglass」は、アナログ運用の多い、経営管理領域のデータを一元化。予算策定、予実管理、見込更新、管理会計のフローを効率的に仕組み化し柔軟に”次の一手”を打ち出せる機動力を届けます。

執筆者
Loglass編集部

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