2023-11-17
Loglass編集部
約3分
Study

管理会計における効果的な原価計算の方法と活用法

管理会計とは、組織の経営者や内部関係者が意思決定を行う際に必要な情報を提供するための会計方法の一つです。その中でも重要なのが原価計算であり、その計算方法の選択や活用方法は企業によって違いがあります。この記事では、管理会計において原価計算を効果的にに活かすための方法について解説します。

経営管理クラウド「Loglass」は、アナログ運用の多い、経営管理領域のデータを一元化。予算策定、予実管理、見込更新、管理会計のフローを効率的に仕組み化し柔軟に“次の一手“を打ち出せる機動力を届けます。

管理会計の役割

管理会計は、財務状況や経営成績の分析、経営資源の適正な配置、予算策定、予測、業績評価など、内部的な経営判断のための情報提供に特化しています。これは経営者が適切な意思決定を下せるよう、具体的なデータに基づくインサイトを得ることができるようにするためです。

管理会計は具体的に、主に以下のような役割を果たします。

  • 予算の計画:組織の目標や戦略を設定し、それらを達成するための具体的な予算や計画を策定します。

  • 予算管理:実際の結果と予算や計画とを比較し、差異を分析します。これにより、必要な対策や改善策を立てることができます。

  • 意思決定の支援:経営者がさまざまな選択肢の中から最善の決定を下せるよう、必要な情報を提供します。

  • パフォーマンスの評価:各部門やプロジェクトのパフォーマンスを評価し、組織全体の業績向上に役立てます。

財務会計と管理会計の違い

企業の会計にはもうひとつ、株主・投資家などへの開示や税務申告のために行われる「財務会計」もあります。管理会計と財務会計の大きな違いは、法的に定められた形式があるかどうかです。

財務会計は所定の形式があり、ある程度作成や公表のフローも決まっていますが、管理会計はこうしたルールが特段ありません。よって組織の特定のニーズに合わせてカスタマイズすることが可能です。

原価計算とは

原価計算とは、製品やサービスの生産や提供にかかる全てのコストを明確にし、計算する手法のことを指します。原価計算の目的は、適切な価格設定、利益計算、予算策定、効率的なリソースの配分など、効果的な経営判断を行うために必要な情報を提供することです。

原価計算は主に以下のコストを考慮します。

  • 直接原価:製品製造またはサービス提供に直接関連するコスト。これには、直接労働(製品を製造するための労働者の給与)、直接材料(製品の製造に使用される原材料)が含まれます。

  • 間接原価:製品製造やサービス提供には必要であるものの、特定の製品やサービスに直接割り当てることが難しいコスト。これには、製造設備の維持費、管理費、販売費などが含まれます。

これらの原価を計算し、それに利益を加えることで製品やサービスの販売価格を決定します。

管理会計における原価計算の手順

管理会計における原価計算は、経営者が資源の効率的な使用、価格設定の決定、利益予測、パフォーマンス評価などの重要な意思決定を行うための情報を提供します。

管理会計における原価計算の手順は、企業のニーズや特性によって異なる場合がありますが、基本的には以下の通りです。なお、実際の管理会計の手法や考え方は、企業の特性や戦略によって大きく異なる場合があります。

コストの識別

原価計算の第一歩は、製品やサービスの製造・提供に必要なすべてのコストを識別することです。これには直接原価(直接労働と直接材料)と間接原価(製造間接費や管理費など)が含まれます。

コストの分類

次に、コストを直接原価と間接原価に分類します。直接原価は特定の製品やサービスに直接関連するコストであり、間接原価は製品やサービス全体に関連するコストです。

原価計算方法の選択

原価計算にはいくつかの方法があり、それぞれが特定の状況に適しています。例えば、ジョブオーダーコスト法(ジョブ原価計算)は特定の製品やプロジェクトのコストを計算するのに適していますが、プロセスコスト法(プロセス原価計算)は一連の同一または類似の製品のコストを計算するのに適しています。

コストの集計と割り当て

コストを分類し原価計算の方法を決めたら、実際にコストを算出します。そしてコストを適切な形で割り当てていきます。

原価の分析と評価

原価計算が完了したら、それを分析して評価します。この結果は、価格設定、利益計算、予算策定などの意思決定に役立てられます。

原価計算の見直し

組織の状況や市場環境が変われば、原価計算もそれに対応して見直される必要があります。これにより原価計算は常に現状に即したものとなり、組織の効率的な運営を支えます。

管理会計における原価計算を事業に活かすためのポイント

管理会計における原価計算は、ビジネスの運営や戦略的意思決定をサポートする強力なツールになります。以下に、その活用のコツをいくつかご紹介します。これらのコツを活用することで、企業は原価計算を戦略的なツールとして最大限に活用し、より効率的な運営と持続可能な成長を達成することができるでしょう。

コスト構造の理解

原価計算の真の価値は、それが企業に製品やサービスの真のコストを理解することを可能にするところにあります。コストを詳細に分析し、どの活動がもっとも費用を消費し、どの活動が最も価値を提供しているかを理解することが重要です。

適切な価格設定

原価計算は適切な価格設定に不可欠です。製品やサービスのコストを正確に理解することで、企業は適切な価格を設定し、十分な利益を確保することができます。

予算策定とコントロール

原価計算は予算策定の過程でも重要です。予測されるコストに基づいて予算を作成し、実際のコストと比較することで、企業はコストコントロールを強化し、必要に応じて対策を講じることができます。

製品やサービスの選択

原価計算は製品やサービスの選択を支援します。どの製品がもっとも利益を生み出すのか、どの製品を提供し続けるべきか、新しい製品を開発するべきかなどの判断に役立ちます。

業務効率や生産プロセスの改善

原価計算を通じて、企業は製品やサービスの生産プロセスにおける非効率性を特定し、改善する機会を見つけることができます。

戦略的な意思決定

原価計算は、新製品の開発、市場への進出、製造プロセスの改善など、戦略的な意思決定に重要な情報を提供します。

透明性の向上

原価計算は、製品やサービスのコストを明らかにすることで、企業全体の透明性を向上させる効果があります。これにより、内部の意思決定者はより情報に基づいた意思決定を行うことができます。

原価計算に活用できるツールやソフトウェア

原価計算にはさまざまなツールやソフトウェアが活用できます。これらはコストの追跡、計算、分析、レポート作成を効率的に行うのに役立ちます。

以下にいくつかの代表的なツールを紹介します。これらのツールは自社組織の規模やニーズ、予算などによって決定するとよいでしょう。

Excel、Googleスプレッドシート

ExcelやGoogleスプレッドシートは、小規模なビジネスや簡単な原価計算に適しています。メンバーが使いやすく、カスタマイズ可能であり、コストデータを入力、分析、表示するのに便利です。

会計ソフトウェア

各メーカーが提供している会計ソフトウェアは、原価計算を行うのに非常に便利です。これらのソフトウェアは財務データの追跡と管理を容易にし、コスト計算、予算作成、財務分析などに役立つ機能を提供します。

ERPシステム

ERP(Enterprise Resource Planning)システムは、大規模な組織や複雑な原価計算に適しています。これらのシステムは会計情報を組織全体の他のデータと統合し、詳細な原価計算や経営分析を可能にします。

原価計算専用ソフトウェア

原価計算を専門に行うソフトウェアもあります。これらのソフトウェアは、特定の産業や特定の原価計算方法に特化した機能を提供することがあります。

クラウドベースのソフトウェア

クラウドベースのソフトウェアは、場所にとらわれずに原価計算を行うための便利なツールです。これらのソフトウェアは、リアルタイムでのデータアクセス、チーム間の共有、迅速なデータ分析などの利点を提供します。

まとめ

管理会計における原価計算は、適切な経営資源の配分や、商品・サービスの価格設定、利益予測、パフォーマンス評価など、重要な意思決定を行う上で必要不可欠な情報に直結します。自社に合った原価計算方法やツール・ソフトウェアを採用し、企業経営に役立ててはいかがでしょうか。

経営管理クラウド「Loglass」は、アナログ運用の多い、経営管理領域のデータを一元化。予算策定、予実管理、見込更新、管理会計のフローを効率的に仕組み化し柔軟に“次の一手“を打ち出せる機動力を届けます。
執筆者
Loglass編集部

ログラスの編集部です。ビジネス戦略、リーダーシップ、財務、イノベーションなど、ビジネスに関する面白い話題をお届けします。 最新トレンドをキャッチし、ビジネスのヒントやアイデアを提供して、成功への一歩をサポートします。