2023-10-13
Loglass編集部
約3分
Study

予算立てはどうすればいい?予算立てのポイントを紹介

予算立ては、企業の成長と成功にとって必要なプロセスです。しかし、その方法やポイントを理解するのは簡単ではありません。現実的ではない予算を出してしまった結果、現場と経営層の認識を乖離させてしまったり、逆に緩すぎる予算を立ててしまったがために、うまくビジネスをドライブできなくなることも――。

そこで本記事では、効果的に予算立てを進めるための基本的なステップと、それを成功させるための重要なポイントを詳しく解説します。予算立ての目的から始め、具体的な方法、そして予算立てを円滑に進めるためのツールの活用まで、予算立てについて広くカバーします。

経営管理クラウド「Loglass」は、アナログ運用の多い、経営管理領域のデータを一元化。予算策定、予実管理、見込更新、管理会計のフローを効率的に仕組み化し柔軟に”次の一手”を打ち出せる機動力を届けます。

予算立ての重要性

言うまでもなく、企業活動においての「予算管理」は、利益を生み出すうえで特に重要な管理業務です。予算を立てることによって、社内の各部署の目線がそろいやすくなるうえ、売り上げだけではなく費用・利益なども含めて管理していくことで、ビジネスを持続的・長期的な視点で改善していくことが可能となります。

予算立てはビジネスの基本ともいえる領域だけに、様々な方法論や、策定時のポイントが乱立しています。策定した予算との乖離がないように実績を管理するには、まずは予算管理の基本を押さえておきましょう。

予算立ての基本はPDCAサイクル

予算立ての基本的な方法は基本的に、PDCAサイクルに基づいて進めるとスムーズだと言われています。

PDCAサイクルとは、「計画(Plan)・実行(Do)・確認(Check)・改善(Action)」の頭文字を取った管理手法の一種です。これらの行動を何度も繰り返すことで、継続的に改善を進めていくことができます。

予算編成(Plan)

予算編成は、PDCAサイクルにおける「P」に該当します。企業による差は大きいものの、予算を立てる際は、経営目標を立て、目標達成のための方法やリソースの分配方法を計画します。最終的には、PLの予算として大きく4種類の予算(売上・費用原価・経費・利益)の編成まで進めていくことが一般的です。

それぞれについて、策定時の注意点と、社内手続き上のポイントについてご紹介します。

1. 売上予算

売上予算は、企業が特定の期間(通常は1年)に達成する予定の売上高を示します。過去の売上データ、市場の成長率、新製品の導入、競争状況などを考慮しながら予算を立てるのが一般的です。また、売上予算は製品やサービスごと、地域ごと、営業担当者ごとなど、さまざまなレベルで細分化していくこともあります。

売上予算を立てる際の詳細な手順は企業によって異なる面も大きいものの、年間の売上を設定した後は、例年の「売上傾向」や「トレンド」も加味しながら、1か月や3か月ごとの数字にブレークダウンし、月次の予算(目標)を組み立てて行くことが多いです。

2. 費用(コスト)予算

「費用」と言っても、さらに内訳は様々。ここでは大きく「原価予算」と「経費予算」に分けて論じていきます。それぞれの費用の性質を理解し、自社のビジネスモデルに合わせて予算に盛り込んでいくことが大切です。

原価予算は、製造またはサービスを提供するために必要なコストのことを指します。これには、直接材料費、直接労務費、間接費(製造間接費)などが含まれます。原価予算を立てる際には、生産量や労働時間、材料の単価などを考慮しましょう。

経費予算は、企業の運営に必要な一般的な費用です。これには、人件費、広告費、研究開発費、旅費、レンタル費、通信費などが含まれます。経費予算を立てる際には、各部門の予算要求を集め、それを経営陣がレビューし、必要に応じて調整します。

3. 利益予算

利益予算は、売上予算から費用予算や諸経費を引いたもので、企業が特定の期間に得ることを予定している利益を示します。利益予算を立てる際には、売上予算と費用予算(原価予算と経費予算)の精度が重要となります。また、利益予算は企業の利益目標を設定し、その達成度を測る基準となります。

これらの予算は互いに関連しており、一つの予算が変更されると他の予算にも影響を与えます。したがって、予算を立てる際は、全体の経営戦略と財務目標を考慮することが重要です。

また、いずれの予算においても、そもそも数字や精度については、過去のトレンドはもちろん、現在の状況など様々な要素も加味したうえで組み立てていくことが大切となります。予算の数字がぶれてしまうと、目標としての説得力も落ち、結果として戦略の実効性も下がってしまいます。現状をしっかり把握し、かつ各予算に紐づくKPIを、どの部門が責任をもって達成していくのかを明確化していきましょう。

予算にもとづいて実行(Do)

 予算編成ができたら、業務の実行に入ります。

予実分析(Check)

 実際の結果と予算を比較し、乖離がある場合はその原因を特定します。

予実のかい離原因を特定して改善(Action)

 予実分析によって課題が見つかった場合、その原因を特定して改善案を策定します。策定した改善案は、最初の計画ステップに戻って予算に反映し、次のPDCAサイクルに入ります。

その他、予算立てのポイントは?

予算を立てたとしても、予算通りにコトが進まないこともあります。どのようにしたら、スムーズに予実管理ができるでしょうか。ここでは予算を立てる時のポイントを紹介します。

戦略と紐づいた予算であること

「予算策定のポイント」として最も重要なのは、「戦略と紐づいた予算であること」です。予算は、企業や組織の目標達成に向けての資源配分を計画する基本的なツールです。このため、予算は組織の戦略や目標に密接にリンクしている必要があります。

まず第一に、戦略計画に基づいて予算を策定することで、組織のリソースが効果的に活用され、目標達成の確率が高まります。戦略的な視点から予算を見直し、優先順位を明確にすることで、必要な投資やコスト削減が明確になり、リソースの無駄遣いを防ぐことができます。

次に、戦略と予算が紐づいていると、組織のメンバーが共通の目標に向かって効率的に作業することができます。各部門やチームが同じ方向に進むための予算を持っていると、協力とアライメントが促進され、組織全体のパフォーマンスが向上します。

最後に、戦略と紐づいた予算は、柔軟性をもたらします。市場環境や競争状況の変化に対応するために、予算を迅速に調整する能力は非常に重要です。戦略との連携によって、予算の調整も戦略の適応と同時に行うことができ、組織の迅速な対応をサポートします。

予算達成に向けたKPIまで設計されていること

KPI(Key Performance Indicator:主要業績評価指標)は、予算達成に向かって組織が進行中であるかを定量的に評価・監視するための指標です。KPIを設計することで、戦略の進行と結果のモニタリングが可能となり、必要な場合には戦略の修正も迅速に行うことができます。

KPIは、予算達成の道のりを明確にし、途中経過をチェックする目印となります。これにより、目標に対する進捗が可視化され、管理者やチームは必要なアクションをタイムリーに判断しやすくなります。また、KPIを基にしたレビューは、チームメンバーのモチベーション向上にも寄与します。自身の貢献が組織の目標達成にどのように影響しているかを理解することで、意欲的な取り組みが促されます。

さらに、KPIは組織のリソースを効果的に管理・調整する助けともなります。リソースの配分やプライオリティの調整が、具体的な数値目標を基に行われるため、オペレーショナルな判断が簡便かつ合理的になります。

最後に、KPIは外部のステークホルダーに対しても組織の透明性を向上させる重要なツールです。KPIを通じて組織のパフォーマンスが公開されることで、ステークホルダーとの信頼関係の構築にも寄与します。

部門や関係者の協力を仰げる体制を作る

予算立てには各部門や関係者の協力と関与が必要です。関係者の意見や要望を収集し、予算立てに反映させることで、組織全体の協力を得ることができます。しかし、関与が不十分な場合予算が現場の実情に即していないため、目標達成や予算の適切な実行が困難になる可能性があります。

昨今では、DX推進などで部門の工数負担を削減し、コミュニケーションや要望を収集できる体制を整えている企業も増えてきました。

リスク要因をの考慮する

ビジネス環境は内外問わず、常に変化します。内部環境では人材の離職、外部環境では法規制や新興企業の登場による競合の激化などが考えられるでしょう。このようなリスクにそなえておくことで、いざという時の経営ダメージを減らすことができます。予算に余裕がないとリスクに備えられないため、できるだけ余裕を持たせた予算策定を行いましょう。

定期的なモニタリングとフィードバックをおこなう

予算は柔軟性を持つものであり、再設定が可能です。定期的な予算のモニタリングとフィードバックは、予算の実行状況の把握や問題の早期発見に役立ちます。実績との比較や適切なフィードバックを通じて、予算の調整や改善を行いながら、目標達成に向けて進めましょう。

予算立てでよく使われるツール

予算立てに限らず、業務効率化を達成するためには、適切なツールの導入が不可欠です。ここでは予算立てによく使われるツールを紹介します。

表計算ソフト

予実管理ではMicrosoft ExcelやGoogle Sheetsなどの表計算ソフトを使用することができます。入力、並べ替え、分析に適しており、関数とマクロを使用して自動化や複雑な計算を行うこともできます。一方で大量のデータを扱うと重くなりがち、作業工数がかかりがちなどというデメリットもあります。

会計ソフト

会計ソフトでは日々の取引を仕訳していきますが、BS/PLに落とし込み、データ分析の一助として活用することもできます。

しかし、あくまでも日々の仕訳を管理するツールであるため、予実管理ではPDCAサイクルの「Check」が難しくなりがちです。

ERPソフト

企業の経営資源を一元管理するソフトウェアをERPといいます。企業内におけるさまざまな業務(会計、人事、生産、調達、販売など)をERPソフトに集約することで、より効率的に経営分析や戦略立案、意思決定を行えるようになります。

まとめ

予算立てと業務効率化は、企業の成長にとって重要な要素です。予算立てのポイントを踏まえながらPDCAサイクルを活用することで、効果的な予算管理ができるようになります。

経営管理クラウド「Loglass」は、アナログ運用の多い、経営管理領域のデータを一元化。予算策定、予実管理、見込更新、管理会計のフローを効率的に仕組み化し柔軟に”次の一手”を打ち出せる機動力を届けます。

執筆者
Loglass編集部

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