企業がもっている資金を管理するために、電子帳簿や資金管理ソフトの導入が必須といえます。その背景にある関連法案や、資金管理ソフトの選び方、その活用法について説明します。
企業の資金管理とは、企業が事業活動に必要な資金を用意・管理することを指し、「資金計画」と「資金統制」の2つに大別されます。資金計画とは業務に必要な資金の予測や運用手法について計画すること、資金統制とはその資金計画に沿って資金を確保することです。
企業が保有する資金は「運転資金」と「設備資金」に分けられます。運転資金とは、仕入費用や人件費、オフィスの賃料など、日々の企業活動を支えるための費用です。企業が活動する上で資金ともいえます。一方の設備資金とは、土地や建物、機械などの設備投資に充てる資金のことです。こちらは今すぐに必要というよりも、企業を将来的に拡張し永続させる上で必要だといえます。
企業の資金管理は、企業の健全性と持続的な成功のために重要な役割を果たします。以下の点を意識して資金管理を行うとよいでしょう。
戦略的な予算計画を立てることは、すべての企業において重要だといえます。過去の決算や資金繰りの状況を加味し、より詳細な予算計画を立てましょう。そしてそれに基づくKPIを設定し、事業側の行動とも連動させていきます。
企業はキャッシュが出入りするタイミングを常に認識し、十分な現金が手元にあることを確認する必要があります。予期しない出費や短期的な資金減少に対応するためには、適切なキャッシュフローの管理が重要です。
すべての企業には、市場の変動リスクや信用リスク、通貨の為替変動リスクなどが影響します。企業はこれらのリスクを評価し、適切なリスク管理戦略を立てる必要があります。
企業の成長と拡大のためには、新しいプロジェクトや事業への投資が必要となる場合があります。これらの機会を正しく評価し、資金効率的に配分することが重要です。
企業は会計基準と税法に従って情報を正確に報告する必要があります。また、企業の状況を公正に反映するためには、適切な内部統制を導入し、それを長期的に維持できる体制を整えましょう。
株式会社が拡張していくためには、株主や投資家、従業員、その他のステークホルダーの協力が不可欠です。彼らが企業の状況を正確に理解できるよう、企業の資金管理の透明性を意識しておく必要があります。
これまでアナログな方法で資金管理を行っていた企業でも、昨今は企業管理ソフトを導入するケースが増えています。企業がツールを使用して資金管理を行うメリットは、以下の通りです。
資金管理ツールは、企業の資金管理を「見える化」します。また常に最新の情報を把握できるので、これまで以上に効率的に企業経営を行うことが可能です。また、企業は収益と支出をより効果的にバランスさせ、キャッシュフローを最適化することもできます。
資金管理をアナログで行うと、どうしても人的ミスを誘発してしまいます。そのミスが企業運営に影響してはならないので、ミスがないかを確認するための工数もある程度必要でしょう。
資金管理ソフトは、こうした人的ミスやその確認工数を削減できるメリットがあります。もしソフト上の数字に違和感があった際に、すぐに気づくこともできるでしょう。
資金管理ツールは、会社の状況を詳細に分析するためのデータを蓄積しています。それに基づき将来の予測や戦略的な意思決定に沿ったインサイトを得ることも可能です。
資金管理ツールは、企業が資金管理の状況を正確に把握できるだけでなく、正確な資金管理レポートを自動生成できます。監査役などの関係者に配布しやすく、税法などの法的要件を満たすのに役立ちます。
企業の経理部門に関係しており、今対応が急がれているのが、2022年に改正された電子帳簿保存法(Electronic Record Keeping Act)の施行です。
この法律の主な目的は、企業が手書きや紙ベースの記録からデジタル化された記録へと移行することを可能とし、それにより情報管理の効率性と精度を向上させることです。「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」のすべてにおいて改正事項があります。
企業の資金管理全体への影響は大きくはありませんが、経理部門にとっては大きな影響がありますので、そのポイントを簡単に解説します。
電子帳簿保存法は、企業がデータを電子的に保存する方法について規定しています。具体的には、データの形式や保存期間、セキュリティ対策などです。
企業は、監査役や税務署などが必要な情報に容易にアクセスできるよう、これらの電子記録を整理して保存する必要があります。
企業は、保存されたデータが破棄されたり、破壊や改ざん、不正アクセスから保護されるよう、適切なセキュリティ対策を行うよう既定されています。具体的には、電子帳簿保存法に対応したクラウドツールなどを導入しておく必要があります。
記録される電子記録は、その保存期間全体にわたって簡単にアクセス可能で、読み取り可能な形式で保持される必要があります。
この電子帳簿保存法はすでに施行されており、2024年から完全準拠するように定められています。猶予期間が2023年内で終了するため、未対応の企業は早めに行動するとよいでしょう。
これから資金管理ソフトを導入するなら、以下の観点から選ぶことをおすすめします。
まず、自分の会社が必要とする機能を明確に把握しておくことが重要です。例えば、帳簿管理、レポート作成、請求書管理、支払いのスケジューリング、税計算、予算管理、キャッシュフロー分析などの機能が必要か、確認してみてください。そして必要な機能を持っている資金管理ソフトを選べば、自社のニーズに合ったソフトを導入できます。
資金管理ソフトを導入した際、実際にソフトを扱うメンバーが使いやすいかどうかも重要なポイントです。直感的に使いやすいツールであるほど、メンバーの作業効率や生産性を向上させるでしょう。
自社で使用している他のシステムやソフトと互換性があることも大切です。資金管理ソフトを導入する前に、他の会計ソフトやCRM、在庫管理システムなどと統合できるかどうかをベンダーに確認してください。
特に企業が成長フェーズにある場合、資金管理ソフトに機能を追加、カスタマイズできるようなスケーラビリティがあると、より活用しやすくなります。追加の機能を追加できるか、またはアップグレードが可能なソフトを選択するのがおすすめです。
資金管理に関するデータは、非常に重要な情報であるため、ソフトウェアは高いセキュリティ基準を満たすべきです。自社が定める基準をクリアするソフトを選びましょう。
技術的な問題や疑問点が発生した場合、迅速で信頼性のあるカスタマーサポートが提供されているかどうかを確認してください。エラーが起きた際にもスムーズに対応してもらえます。
資金管理ソフトは長期的に使用するソフトです。そのため、無理のない金額で利用できるソフトを見つけることも重要です。ソフト自体の価格だけでなく、セットアップ費用、追加機能の費用なども加味して比較検討してください。
企業の資金管理は企業の運営や拡大に必要不可欠な事柄です。資金管理を円滑に行うなら、資金管理ソフトを導入するのがおすすめです。その際には自社に必要な機能を洗い出した上で、最適なソフトを選ぶとよいでしょう。
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