2023-10-12
Loglass編集部
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管理会計とは?管理会計で使われる分析手法を解説

企業運営には「管理会計」と「財務会計」があります。同じように“会計”がつく両者ですが、どのような違いがあるのでしょうか。

本記事では、管理会計の概要を包括的にお伝えします。

管理会計とは

管理会計とは、企業運営における戦略立案などを行うための会計様式です。大きな役割は、組織の意思決定者(経営者など)がビジネスの計画、実行、評価を行うために必要な情報を提供することです。例えば、予算の作成やコストの計算、パフォーマンス評価などを行うことで現状と企業のあるべき姿、次の打ち手などを考えることができます。

財務会計と管理会計の違い

金融会計と管理会計の主な違いは、その情報の利用者と目的にあります。財務会計の目的は主に、外部のステークホルダー(株主、債権者、税務当局など)に対して過去の経済活動を公正に報告することです。一方、管理会計は組織内部の管理者向けたもので、将来の経済活動の計画や、運営管理をするための情報を提供することを目的としています。

管理会計にはどのような指標があるのか

管理会計にはいくつかの基本的な指標があります。例えば直接費と間接費は、製品やサービスのコストを計算するために重要な指標です。

直接費は特定の製品やサービスに直接関連するコスト(例えば、原材料費)、間接費は製品やサービスに間接的に関連するコスト(例えば、製造部門の管理費)を指します。また、固定費と変動費もよく使われます。固定費は一定的かつ継続的にかかるコスト(例えば、賃貸料)を指し、変動費は生産量や売上に応じて変動するコスト(例えば、原材料費)を指します。

管理会計の分析手法にはどのようなものがあるのか

管理会計では新プロジェクトが始まる前に予算と実績をまとめ、経営計画を立案するようにします。これにより組織全体の目標が明確になるため、社員が一体感を持って業務をすすめることができるようになります。また経営資源を最適に配分する指針にもなるでしょう。

また数字を分析するさいは「計画と実績の差異」を評価し、管理・改善するための基礎として定点観測していけば、経営陣と現場の目線も揃いやすくなる効果も期待できます。 とはいえ、予算作成には時間とコストがかかるうえ、市場や経済状況が予測通りに進まない場合は予算が的外れになるリスクもあります。

さらに、高い目標を掲げてしまうと予算達成のプレッシャーから、短期的な利益追求や不適切な行動を引き起こす可能性があります。

経営指標はあらゆる手法によって分析されますが、ここでは代表的なバリアンス分析、ブレークイーブン分析、マージン分析についてご紹介します。

バリアンス分析

バリアンス分析は、予算と実績の差異(バリアンス)を分析する手法です。バリアンスが生じた原因を特定し、その対策を立てることで、経営の改善につながります。定期的(月次、四半期ごとなど)に実施し、また特定のプロジェクトやイベント後に行うのが適しています。

メリット

  • 予算と実績の差異を評価し、その原因を明らかにすることで改善策を導き出すことができる。
  • 部門ごとや製品ごとのパフォーマンスを比較し、組織全体の効率を高める。

デメリット

  • 外部要因や非予見可能な事象によってバリアンスが生じ、これらの要因をコントロールするのは難しい。
  • バリアンス分析の結果を過度に強調すると、短期的な利益追求や異常なコスト削減につながる可能性がある。

ブレークイーブン分析

ブレークイーブン分析は、固定費と変動費を考慮して、利益がゼロになる売上高(ブレークイーブンポイント)を計算する手法です。これにより、企業は利益を出すために必要な最低限の売上高を把握することができます。

メリット

  • 利益を出すための最低限の売上高を明らかにする。
  • 新製品やサービスの投資判断に役立つ。
  • カタログ価格設定や販売戦略を策定する際の有用な情報を提供する。

デメリット

  • 変動費や固定費が一定であるという仮定が必要であり、現実にはこれらのコストが一定でない場合が多い。

マージン分析

マージン分析は、製品やサービスの売上から直接的なコストを差し引いた利益(マージン)を分析する手法です。これにより、どの製品やサービスが最も利益をもたらすのか、またはコスト削減の余地があるのかを特定することができます。

管理会計が使われる具体的なシーン

管理会計は組織の日々の運営から戦略的な意思決定まで、幅広い範囲で活用されます。例えば、製品の価格設定、新規投資の評価、コスト削減のためのプロジェクトなど、様々なビジネスシーンで管理会計の手法が用いられます。

例1.製品の価格設定

製品の価格設定は、企業の収益性に直接影響を与える重要な要素です。製品の製造コストを管理会計で詳細に把握し、それに基づいて価格を設定します。

製造コストには直接材料費、直接労務費、間接費などがあります。これらを合計した全体の製造コストに利益分を足したものが製品の価格です。このように管理会計のプロセスを通じて製品の価格が適正であることが確認できるため、企業の収益性を保つことができます。

例2.新規投資の評価

新規投資の評価も、管理会計の重要な活用例の一つです。新規投資の評価では、投資の収益性を評価するために、投資回収期間や内部収益率(IRR)、正味現在価値(NPV)などの指標を用いて分析します。これらの指標を用いることで、投資が企業の財務状況にどのような影響を与えるかを評価し、投資の是非を決定することができます。

例3.コスト削減のためのプロジェクト

コスト削減は、企業の収益性を向上させるためにとても重要な業務です。管理会計では無駄なコストを削減するべく、コストの詳細な分析をしていきます。

例えば「各部門のコスト構造の分析」「無駄なコストが発生している部分の特定」などです。分析と特定が終わったら、無駄を削減するための具体的なアクションプランを作成して実行します。このようなプロセスを通じると、企業全体のコスト効率を向上させることができます。

まとめ

デジタル化とAIの進化は進化の一途を辿っています。

管理会計ツールを導入することでより高度な分析が可能になり、経営者はより精緻な意思決定を行うことができます。組織の運営と戦略策定において重要な役割を果たす管理会計の重要性は増すばかり。経営管理クラウド「Loglass」は予算策定、予実管理、見込更新、管理会計のフローを効率的に仕組み化し、柔軟に”次の一手”を打ち出せる機動力を届けます。

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執筆者
Loglass編集部

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