2023-10-09
Loglass編集部
約5分
Study

損益計算書をエクセルで作成する方法やテンプレートをご紹介!

損益計算書をエクセルで作成する方法やテンプレートをご紹介!

損益計算書とは、企業がどのように資金を使ったか、そしてその結果どのような収益や損失が生じたかを示す重要な財務資料です。しかし、この損益計算書の作成について難しく感じる方も多いかもしれません。

本記事では、損益計算書の基本から、エクセルを用いた作成方法について丁寧に説明します。ぜひ最後までご覧ください。

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損益計算書とは

損益計算書(P/L)は、企業の1年間の経営成績を表す重要な財務資料です。「企業の売上がどれほど増え」「どのような費用に使われ」「いくら利益が出たか」を把握でき、データを分析することで今後の経営に活かせます。また、損益計算書の様式は統一されているため、自社事業と競合他社の業績を容易に比較できる点も利点です。そのほか、取引先や融資先に自社の信頼性をアピールする際にも、損益計算書が役立ちます。

損益計算書をエクセルで作成する方法

損益計算書は、エクセルで作成することもできます。次の手順に沿って損益計算書を作っていきましょう。

  1. 必要項目をセルに入力する
  2. 必要な資料を用意する
  3. 損益計算書を作成する

損益計算書には正確性が求められますので、抜け漏れ、ミスのないように注意が必要です。

1. 必要項目をセルに入力する

損益計算書は、該当の事業年度でどれだけ収益が上がったのか、あるいはどれだけ損失が出たのかを示す報告書であり、「収益」「費用」「利益」の3つのカテゴリーに分けられます。「利益」は、「売上総利益」「経常利益」「営業利益」「当期純利益」「税引前当期純利益」と、さらに5つの科目に分類されます。

カテゴリー 勘定科目
収益 売上高、営業外収益、特別利益
費用 売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用、特別損失、法人税、住民税、事業税など
利益 売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益

各勘定科目の概要は、以下をご覧ください。

勘定科目 説明
売上高 商品やサービスの売上総額を指す
営業外収益 営業活動以外から得られる収益(例:投資収益など)
特別利益 一時的な取引や事象から生じる収益
売上原価 商品を生産・販売する際に必要な費用
販売費及び一般管理費 商品を販売するための広告費用や、一般的な事務経費など
営業外費用 営業活動以外の活動から生じる費用(例:借金の利息など)
特別損失 一時的な取引や事象から生じる損失
法人税、住民税、事業税など 企業が支払う必要がある各種税金
売上総利益 売上高から売上原価を差し引いたもの
営業利益 売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたもの
経常利益 営業利益に営業外収益と営業外費用を足し引きしたもの
税引前当期純利益 経常利益から特別利益と特別損失を足し引きしたもの
当期純利益 税引前当期純利益から税金を差し引いたもの

これらを理解することで、損益計算書がどのように組み立てられ、各項目がどのように計算されるのかを把握できます。

損益計算書を正しく作成し、経営の成績を正確に評価するためには、各勘定科目を理解することが求められます。

⒉必要な資料を用意する

損益計算書の作成に向けて、「決算整理仕訳」「総勘定元帳への転記」「試算表の確認」の三つの工程(準備)をしっかりと行う必要があります。これらのプロセスを正確に進めることで、損益計算書を作るための準備が完了します。

決算整理仕訳

損益計算書を作成する前に、最初に必要なのが決算整理仕訳です。決算整理仕訳は、その会計年度内で行われた仕訳の確認と調整を行う作業です。入金や支払いのタイミング、固定資産の減価償却費の計上などを見直し、必要に応じて帳簿の修正を行います。

決算整理仕訳の作業を進めるときには、すぐに勘定科目を仕訳せず種々の項目を確認するようにしましょう。各項目が発生したタイミングや新しく追加された勘定科目の存在を確認するなどして、全体の概観を掴むことでスムーズかつ正確に作業を進められます。

具体的に決算整理仕訳で確認すべき項目は、以下の通りです。

確認項目 詳細
未収入金の確認 立替金など、「営業活動以外」で発生し、その期中に回収を見込んだ未収金をチェックする
有価証券の期末時価を確認 決算時に価値を再評価する有価証券とその時価をチェックし、評価損益を処理する
固定資産を確認 固定資産台帳を参照し、減価償却額が適切かどうかを確認する
税金の確認 税金の未処理が無いかチェックする
税区分の確認 主に消費税を対象に、税区分が適切に適用されているかを確認。海外出張や海外企業との取引がある場合は、その国の税区分も確認が必要
有価物・棚卸資産の確認 切手や印紙などの有価物と、在庫などをすべて確認する
当期費用の確認 保険料の支払いなど、処理が残されているものや、次期の費用を当期で処理してしまったものをチェックする
売上の確認 現金の出入りに関係なく、「発生主義」という会計基準に従い、売上が生じたタイミングでの収益や費用が適切に計上されているかを確認する

一見複雑に見える決算整理仕訳のプロセスも、以上のように項目ごとに整理し、それぞれの内容を明確にすることで、理解が進みやすくなります。しかし、これらの作業は専門知識を必要とするため、必要に応じて専門家の助けを借りることを推奨します。

総勘定元帳への転記

続いて、仕訳した各勘定科目を総勘定元帳に転記します。総勘定元帳は、全ての取引を日付順に記録する主要な帳簿です。

数字を間違えたり、借方と貸方が逆になったりと、転記漏れが発生する可能性があるので、慎重に作業を進めてください。総勘定元帳は損益計算書だけでなく、貸借対照表など他の決算書類の基礎データにもなるため、ここでのミスは決算全体に影響を及ぼす可能性があります。

試算表の作成

最後に、試算表を作成します。試算表は、総勘定元帳への転記で生じる可能性のある誤記入や記入漏れをチェックするためのものです。試算表には合計試算表、残高試算表、合計残高試算表の3つのバリエーションがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。

種類 詳細 利用場面
合計試算表 各勘定科目の借方と貸方の合計額が一致しているかをチェックする表。ただし、個々の勘定科目の残高は確認できない 一般的な確認作業で利用
残高試算表 各勘定科目の残高をまとめて確認する表で、この表を用いることで各勘定科目の残高の現状を把握できる 主に月次決算時に利用される
合計残高試算表 合計額と各勘定科目の残高を同時に確認することが可能な表。ただし、作成に時間がかかるという欠点がある 主に本決算で利用される。

試算表の作成は、総勘定元帳への転記で生じる可能性のある誤記入や、記入漏れをチェックするための重要な工程です。上記の種類に応じて適切な試算表を使用することで、損益計算書の作成が円滑に進むことが期待できます。

⒊損益計算書を作成する

正確な損益計算書を作成するための第一歩は、試算表の借方と貸方の金額が一致することを確認することです。これが完了したら、費用と収益の項目を整理し、適切な勘定科目と金額を損益計算書に記載します。この過程で、「売上」は「売上高」、「仕入れ」は「売上原価」のように、一部の勘定科目の表記を変更する必要があることを忘れないでください。

以下は、損益計算書の一例です。

科目 金額 売上高 20,000 売上原価 14,000 売上総利益 6,000 販売費及び一般管理費 2,000 営業利益 4,000 営業外収益 300 営業外費用 100 経常利益 4,200 特別利益 40 特別損失 340 税引前当期純利益 3,900 法人税、住民税、事業税など 800 当期純利益 3,100

上記の数値は例示であり、企業の実際の経営状況に応じて変化します。各項目の計算方法や表記を理解し、正確に記載することで、企業の収益性や財務状況を明確に理解できます。

損益計算書の様式例(エクセルテンプレート)

以下、損益計算書の様式例です。長野県のように各自治体がエクセルファイルを無料配布していますので、任意のものをダウンロードして活用するとよいでしょう。

出典:様式4-1(損益計算書)|長野県

損益計算書の作成は、エクセルよりも経営管理システムがおすすめ

ここまでエクセルでの損益計算書の作成方法を解説してきましたが、エクセルには以下のような制限とデメリットがある点には注意が必要です。

エクセルのデメリット 説明
手作業 データ入力や更新は全て手作業で行う必要がある。これは時間がかかり、エラーの可能性を増大させる
データの整合性 異なるファイルやシートで同じデータが使用されている場合、一貫性を保つのが困難になることがある
グラフ作成の手間 グラフ作成に知識が必要であり、作成に手間がかかる
セキュリティ ファイルベースのシステムでは、機密情報が漏洩するリスクがある

これらのデメリットに対処するために、多くの企業がエクセルから経営管理システムへと移行しています。以下は経営管理システムの主な利点です。

経営管理システムの利点 説明
自動化 データの入力や更新が自動化され、時間の節約とエラーの削減ができる
データの一元化 全てのデータが一元化され、情報の管理が容易になる
柔軟性と拡張性 大規模なデータや複雑な業務プロセスでも対応可能で、企業の成長に合わせて拡張できる
高度なセキュリティ 情報の漏洩リスクを最小限に抑えられる
データ分析 売上、費用、利益率などのキーパフォーマンス指標(KPI)を、グラフを用いて簡単に追跡、分析できる。これにより、成功した戦略を特定でき、不十分な部分を改善するための洞察を得られる

売上、費用、利益率などのキーパフォーマンス指標(KPI)を、グラフを用いて簡単に追跡、分析できる。これにより、成功した戦略を特定でき、不十分な部分を改善するための洞察を得られる

そのため、エクセルの手間とリスクを考慮すると、経営管理システムを使用して損益計算書を作成することが、効率的で安全です。

まとめ

損益計算書は、企業の収益と費用をまとめて表示し、利益や損失を明確に把握するための重要な財務文書です。エクセルで作成する際は、必要項目をセルに入力し、適切な資料を用意することが求められます。この過程には、決算整理仕訳や総勘定元帳への転記、試算表の作成などが含まれます。

しかし、エクセルによる手作業は時間と労力がかかります。経営管理システムを導入することで、損益計算書の作成は効率的かつ正確に行えます。企業の財務状況を正確に把握し、適切な経営判断を下すためには、経営管理システムの導入もご検討ください。

経営管理クラウド「Loglass」は、アナログ運用の多い、経営管理領域のデータを一元化。損益計算書の作成のほか、予算策定、予実管理、見込更新、管理会計のフローを効率的に仕組み化し柔軟に”次の一手”を打ち出せる機動力を届けます。

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執筆者
Loglass編集部

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