損益計算書をエクセルで作成する方法やテンプレートをご紹介!
損益計算書とは、企業がどのように資金を使ったか、そしてその結果どのような収益や損失が生じたかを示す重要な財務資料です。しかし、この損益計算書の作成について難しく感じる方も多いかもしれません。
本記事では、損益計算書の基本から、エクセルを用いた作成方法について丁寧に説明します。ぜひ最後までご覧ください。
損益計算書(P/L)は、企業の1年間の経営成績を表す重要な財務資料です。「企業の売上がどれほど増え」「どのような費用に使われ」「いくら利益が出たか」を把握でき、データを分析することで今後の経営に活かせます。また、損益計算書の様式は統一されているため、自社事業と競合他社の業績を容易に比較できる点も利点です。そのほか、取引先や融資先に自社の信頼性をアピールする際にも、損益計算書が役立ちます。
損益計算書は、エクセルで作成することもできます。次の手順に沿って損益計算書を作っていきましょう。
損益計算書には正確性が求められますので、抜け漏れ、ミスのないように注意が必要です。
損益計算書は、該当の事業年度でどれだけ収益が上がったのか、あるいはどれだけ損失が出たのかを示す報告書であり、「収益」「費用」「利益」の3つのカテゴリーに分けられます。「利益」は、「売上総利益」「経常利益」「営業利益」「当期純利益」「税引前当期純利益」と、さらに5つの科目に分類されます。
各勘定科目の概要は、以下をご覧ください。
これらを理解することで、損益計算書がどのように組み立てられ、各項目がどのように計算されるのかを把握できます。
損益計算書を正しく作成し、経営の成績を正確に評価するためには、各勘定科目を理解することが求められます。
損益計算書の作成に向けて、「決算整理仕訳」「総勘定元帳への転記」「試算表の確認」の三つの工程(準備)をしっかりと行う必要があります。これらのプロセスを正確に進めることで、損益計算書を作るための準備が完了します。
損益計算書を作成する前に、最初に必要なのが決算整理仕訳です。決算整理仕訳は、その会計年度内で行われた仕訳の確認と調整を行う作業です。入金や支払いのタイミング、固定資産の減価償却費の計上などを見直し、必要に応じて帳簿の修正を行います。
決算整理仕訳の作業を進めるときには、すぐに勘定科目を仕訳せず種々の項目を確認するようにしましょう。各項目が発生したタイミングや新しく追加された勘定科目の存在を確認するなどして、全体の概観を掴むことでスムーズかつ正確に作業を進められます。
具体的に決算整理仕訳で確認すべき項目は、以下の通りです。
一見複雑に見える決算整理仕訳のプロセスも、以上のように項目ごとに整理し、それぞれの内容を明確にすることで、理解が進みやすくなります。しかし、これらの作業は専門知識を必要とするため、必要に応じて専門家の助けを借りることを推奨します。
続いて、仕訳した各勘定科目を総勘定元帳に転記します。総勘定元帳は、全ての取引を日付順に記録する主要な帳簿です。
数字を間違えたり、借方と貸方が逆になったりと、転記漏れが発生する可能性があるので、慎重に作業を進めてください。総勘定元帳は損益計算書だけでなく、貸借対照表など他の決算書類の基礎データにもなるため、ここでのミスは決算全体に影響を及ぼす可能性があります。
最後に、試算表を作成します。試算表は、総勘定元帳への転記で生じる可能性のある誤記入や記入漏れをチェックするためのものです。試算表には合計試算表、残高試算表、合計残高試算表の3つのバリエーションがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。
試算表の作成は、総勘定元帳への転記で生じる可能性のある誤記入や、記入漏れをチェックするための重要な工程です。上記の種類に応じて適切な試算表を使用することで、損益計算書の作成が円滑に進むことが期待できます。
正確な損益計算書を作成するための第一歩は、試算表の借方と貸方の金額が一致することを確認することです。これが完了したら、費用と収益の項目を整理し、適切な勘定科目と金額を損益計算書に記載します。この過程で、「売上」は「売上高」、「仕入れ」は「売上原価」のように、一部の勘定科目の表記を変更する必要があることを忘れないでください。
以下は、損益計算書の一例です。
上記の数値は例示であり、企業の実際の経営状況に応じて変化します。各項目の計算方法や表記を理解し、正確に記載することで、企業の収益性や財務状況を明確に理解できます。
以下、損益計算書の様式例です。長野県のように各自治体がエクセルファイルを無料配布していますので、任意のものをダウンロードして活用するとよいでしょう。
ここまでエクセルでの損益計算書の作成方法を解説してきましたが、エクセルには以下のような制限とデメリットがある点には注意が必要です。
これらのデメリットに対処するために、多くの企業がエクセルから経営管理システムへと移行しています。以下は経営管理システムの主な利点です。
売上、費用、利益率などのキーパフォーマンス指標(KPI)を、グラフを用いて簡単に追跡、分析できる。これにより、成功した戦略を特定でき、不十分な部分を改善するための洞察を得られる
そのため、エクセルの手間とリスクを考慮すると、経営管理システムを使用して損益計算書を作成することが、効率的で安全です。
損益計算書は、企業の収益と費用をまとめて表示し、利益や損失を明確に把握するための重要な財務文書です。エクセルで作成する際は、必要項目をセルに入力し、適切な資料を用意することが求められます。この過程には、決算整理仕訳や総勘定元帳への転記、試算表の作成などが含まれます。
しかし、エクセルによる手作業は時間と労力がかかります。経営管理システムを導入することで、損益計算書の作成は効率的かつ正確に行えます。企業の財務状況を正確に把握し、適切な経営判断を下すためには、経営管理システムの導入もご検討ください。
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