受賞企業
大賞
株式会社Iーne
経営管理本部本部長
杉江 徹郎 氏
経営管理 DXの主役は「組織」である。
事業解像度で経営を動かす、異色の FP&A 組織構築の軌跡
株式会社Iーneは、全社的な収益構造の変革において顕著な成果を上げたことを評価され、本賞を受賞しました。同社は、経営管理の高度化と営業利益率の向上を目的にFP&A組織を新設。「Loglass」の導入に加え、財務・事業双方の視点を持つ人材配置により、全社共通の「物差し」を構築しました。

その結果、年間300時間超の工数削減を実現し、高付加価値な対話への集中により営業利益率を10.6%へと飛躍させました。さらに、施策と利益の因果関係を完全に説明できる再現性の高い仕組みを確立し、迅速な意思決定を支援しています。

現在はグローバル展開等を見据え、管理体制のさらなる進化に着手。DXを手段とし、「組織と人」を主役にした経営推進が高く評価されました。
審査員からのコメント
琴坂 将広 氏
事業収益性改善を目指し、組織を再編、FP&A機能を確立。会計人材以外も活用する基盤を整備、「このアクションを取ったから、この利益となった」の因果関係がより見えやすい状態を実現されていた。
石橋 善一郎 氏
経営管理の効率化や可視化を実現のうえ、現場での事業改善にまでつなげていることは評価できる。今後、更なる事業成長にまでつなげられると、さらに良い。
佐藤 克宏 氏
グローバル企業のFP&A組織とFP&Aプロセスを日本企業で実践されている点を高く評価します。営業利益率改善への取り組み、本社FP&A組織と事業部FP&A組織の設置、FP&A人材の育成など、FP&Aに関する包括的かつ動的な取り組みが素晴らしいです。
布川 友也 氏
「経営管理DXの主役は『組織』である」という明確な哲学に基づき、テクノロジー導入を組織変革と完全に一体化させた、極めて戦略性の高い取り組みです。単なるシステム導入に終わらず、事業部門出身者をFP&Aに配置するという組織設計の工夫により、分析と現場のアクションを直結させ、営業利益率を10.6%へと飛躍的に向上させた成果は圧巻です。さらに、成功体験に安住せず、事業フェーズの変化に応じて管理粒度を戦略的に「シンプルにする」という自己変革の視点を持っている点は、経営管理が常に進化し続けるべきものであるという本質を捉えており、他社の追随を許さない先進性と言えます。テクノロジー、組織、人材、そして哲学が見事に融合した、経営管理DXの理想形を体現したモデルケースであり、大賞に相応しい事例であると評価しました。
入賞
エン株式会社
経営戦略本部 管理会計チーム チームリーダー
林 伸之介 氏
「エンらしい管理会計PJT」で実現した、事業再成長を牽引するデータドリブン経営
エン株式会社は、再成長フェーズにおける管理会計の刷新において顕著な成果を上げ、本賞を受賞しました。同社は、複雑化したシステムの属人化解消と迅速な意思決定を目指し、「エンらしい管理会計PJT」を始動。「Loglass」導入により、運用工数を4分の1に削減しつつ、配賦ルールや商品別PLの可視化を実現しました。

その結果、注力事業への判断スピードが向上し、半期で計画比約17億円の費用削減を達成。データに基づいた「人・物・金」の最適配置を可能にしました。

現在はポートフォリオ標準化を推進し、サステナブルな経営管理体制を構築した点が、企業変革の好例として高く評価されました。
審査員からのコメント
佐藤 克宏 氏
経営管理DXを、パーパスを定め、社員の声も聞いて社員を巻き込みながら、16ステップに分けて実行している変革は素晴らしい。そして、経営管理DXを、計数管理だけではなく、さらには多くの可視化にとどまらず、意思決定に役立つポートフォリオを設計し、それを標準化し続けることという今後の目標も明確でよい。
石橋 善一郎 氏
管理会計の取り組みが素晴らしいです。分析粒度の細分化、組織人員数の可視化を高く評価します。
布川 友也 氏
単なるシステムリプレイスに留まらず、「エンらしい管理会計のあるべき姿を設計する」という高い視座でプロジェクトを定義し、経営課題の解決と事業成長への貢献を明確に実現している点を高く評価します。特に、注力事業の稼ぐ力・コスト構造を正確に可視化し、特定事業への意思決定強度が飛躍的に上がったことで前年比200%の売上成長に繋がる意思決定を支援した点や、全社横断での費用管理の高度化により約17億円のコスト削減を達成した点は、経営管理DXが企業価値向上に直結することを示す素晴らしい成果と言えます。また、プロジェクトの推進方法も秀逸です。経営層から現場までを巻き込む体制を構築し、エンドユーザーの満足度を4.48点から7.44点へと大幅に向上させた実績は、全社的な取り組みとしてDXが浸透している証左です。
株式会社GENDA
コントロール部 部⻑
遠田 智紀 氏
M&Aによる急成長を支える、未来を牽引する「攻めの経営管理」
株式会社GENDAは、M&Aによる「連続的な非連続な成長」を支える経営管理基盤の構築により、本賞を受賞しました。同社は年間10件超のM&Aに伴う業務の複雑化を解消するため、「Loglass」を導入し、属人化したExcel管理からの脱却を決断しました。

その結果、経営会議やIR資料作成の工数を劇的に削減し、詳細な分析業務へのシフトを実現。
同社のValueである「Speed is King」を体現する迅速なデータ活用を可能にしました。

今後はM&A検討段階からのシナリオ管理も一元化し、投資精度とPMIの高度化を図るなど、「攻めの経営管理」を進化させている点が高く評価されました。
審査員からのコメント
琴坂 将広 氏
全社を巻き込んだ導入プロジェクトを推進、資料作成スピードを大幅に改善。グループ会社との対話のツールとして活用、現場と経営をつなげるプロセスに進化させた点が素晴らしいです。
布川 友也 氏
年10件超というハイペースなM&Aを成長戦略の核に据える同社にとって、属人化したExcel管理は戦略遂行の致命的なボトルネックであると拝察します。 今回のDXは、単なる業務効率化に留まらず、M&A戦略を永続的に支えるためのスケーラブルな経営基盤を構築するという、極めて戦略的な取り組みです。 特に、迎え入れた企業に共通フォーマットとして展開し、PMIのツールとして活用している点は、経営管理と経営戦略を直結させた革新的な事例として高く評価します。 IR業務工数の劇的な削減という圧倒的な効率化を達成しつつ、創出した時間で予実の差異分析や着地見込みの精度向上といった分析の高度化を実現。 さらに、M&Aの事業計画シナリオをシステム上で実績比較する仕組みを構築中という先進的なビジョンも有しており、まさに「Speed is King」というValueを経営管理で体現しています。 M&Aを多用する企業のモデルケースとなる、卓越した入賞クラスの取り組みと評価できます。
審査員特別賞
KDDI株式会社
コーポレート統括本部
コーポレートシェアード本部 兼 人事本部 副本部長
和久 貴志 氏
コーポレートシェアード本部主導!
グループ会社の「自律的な管理会計」でグループガバナンスを深化
KDDI株式会社は、グループガバナンスの強化と経営管理の標準化において卓越した成果を上げ、本賞を受賞しました。「サテライトグロース戦略」に伴うグループ急拡大に対し、コーポレートシェアード本部主導で「Loglass」を導入。共通基盤化により、Excel依存からの脱却と管理レベルの底上げを図りました。

その結果、パイロット企業ではシステム運用費20%削減を実現。別のグループ持株会社では複数会計基準の即時切替や、連結調整後データの可視化により、定型業務から高付加価値業務へのシフトを成功させました。

今後はグループ全体へ「攻めの経営管理」を展開し、データドリブンな組織風土の醸成を目指す姿勢が高く評価されました。
審査員からのコメント
琴坂 将広 氏
丁寧な導入プロセスを経て、経営管理を改善、定型業務を最小限化し、戦略的な分析に繋げ、運用費削減などの成果を上げた。グループ他社への導入にも道筋をつけつつある。大企業での導入事例として、特筆に値します。
布川 友也 氏
「サテライトグロース戦略」に伴うグループ会社急増という、大企業特有の極めて困難なガバナンス課題に対し、DXで見事に回答した模範的な事例です。特筆すべきは、トップダウンの強制導入を避け、「コーポレートシェアード本部」がハブとなり、パイロット導入の成功事例を横展開するという、戦略的な組織変革を主導した点です。その結果、パイロット導入先ではシステム運用費20%削減という明確な事業貢献を達成。さらに持株会社では、日本基準・IFRS・連結調整をボタン一つで切り替える高度な分析基盤を構築するなど、経営管理の質を飛躍的に向上させました。親会社がセキュリティ審査や契約を一括で担い、グループ会社の導入障壁を戦略的に排除する手法は、グループ経営におけるDX推進の「型」として非常に先進的です。経営管理の高度化と、卓越した組織変革の実行力を両立した、極めてレベルの高い取り組みです。
和光会グループ
理事長室 室長
鈴木 未沙 氏
創業100年、地域に寄り添う使命のために。
現場と本部が一体となった経営管理DX
和光会グループは、医療・福祉業界特有の複雑な経営管理体制を変革し、顕著な実績を上げたことで本賞を受賞しました。同社は88施設を横断するデータ統合を目指し「Loglass」を導入。異なる会計基準の壁を越え、配賦処理の自動化と現場の意識改革を推進しました。

その結果、管理職が自律的に収支改善に動く「自走する組織」が誕生し、売上は過去最高を更新。利益を職員還元につなげる好循環を実現しました。

今後はAI活用による未来予測へ挑戦するなど、次の100年を見据えた業界の先駆的モデルとして高く評価されました。
審査員からのコメント
琴坂 将広 氏
あらゆる収支が複雑なExcelシートで管理され、法人を横断した集計作業に大きな負担。数値面でのタイムリーな検討が困難であったが、全社的な取り組みとしてDXを推進。医療法人と社会福祉法人が混在し、会計の仕組みや科目が異なるなどの問題や、診療報酬などの複雑な事業特性を加味したデータ統合基盤を確立、88の事業所を横断した運用を実現した。異なる法人格の存在や診療報酬などの特殊な事業特性を乗り越えた事例として、紹介に値すると感じました。
石橋 善一郎 氏
歴史のある医療法人としての経営管理への取り組みに感銘を受けました。経営意識を持ちつつ自走できる組織への転換、各事業所長の意識変革、コスト削減や利益向上に主体的に取り組む文化が生まれたことを高く評価します。